Outlookでメールを作成するとき、「HTML形式」「リッチテキスト形式」「テキスト形式」の3つのモードが選べることをご存じですか。
その中でも「テキスト形式」は、見た目の装飾ができない代わりに、どんな環境でも正確に内容を届けられる信頼性の高い形式です。
この記事では、Outlookの「テキスト形式」の特徴やメリット・デメリット、設定方法、そしてHTML形式との使い分けポイントまでを丁寧に解説します。
読み終わるころには、「どの形式を使えばいいか」がはっきりわかり、あなたのメール運用がもっとスムーズになるはずです。
Outlookの「テキスト形式」とは?

Outlookでメールを作成するときには、「HTML形式」「リッチテキスト形式」「テキスト形式」という3種類のモードがあります。
この章では、その中でも最もシンプルな「テキスト形式」がどのような特徴を持っているのかをわかりやすく解説します。
「HTML形式」「リッチテキスト形式」との違い
まずは、Outlookで選べる3つの形式の違いを整理しておきましょう。
| 形式 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| HTML形式 | 画像や装飾が使えるデザイン重視の形式 | 案内メール・広報メール |
| リッチテキスト形式 | Outlook専用の装飾付き形式(他ソフトでは崩れる可能性あり) | 社内限定メール |
| テキスト形式 | 文字のみで構成され、どんな環境でも崩れない | 業務連絡・フォーマルな通知 |
テキスト形式は「装飾ができない代わりに、確実に伝わる」ことを目的とした形式です。
「プレーンテキスト」と呼ばれる理由
「テキスト形式」は、英語では「Plain Text(プレーンテキスト)」と呼ばれます。
これは、文字情報だけで構成されたシンプルなデータという意味で、HTMLタグや画像などを含まないため、どんな端末やソフトでも正しく表示されます。
たとえば、以下のようなメールです。
―――――――――――――――――――
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。
本日の会議は14時から第2会議室で行います。
よろしくお願いいたします。
△△株式会社 営業部 山田
―――――――――――――――――――
このように、文字だけで完結するため、読み手の環境に依存しないのが大きな特徴です。
どんな場面で使われているのか
テキスト形式は、今でも多くのビジネス現場で使われています。
特に、社内メールや取引先との正式なやり取りなど、「正確さ」「セキュリティ」「軽量さ」を重視するケースで活用されます。
見た目のデザインよりも「確実に伝える」ことを優先する場面で、最も信頼できる形式といえるでしょう。
Outlookでテキスト形式を使うメリット

テキスト形式の最大の魅力は、「確実・安全・軽い」という3つの要素に集約されます。
ここでは、具体的なメリットをわかりやすく整理して解説します。
どんな環境でも同じ表示で読める
HTML形式では、相手のメールソフトやセキュリティ設定によってレイアウトが崩れることがあります。
しかし、テキスト形式なら装飾を使わないため、すべての環境で同じ内容が表示されます。
「誰にでも正しく届く」という信頼性が最大のメリットです。
セキュリティリスクを最小限にできる
HTMLメールにはスクリプトやトラッキングタグが埋め込まれている場合があり、セキュリティ上のリスクがあります。
テキスト形式は文字データのみで構成されるため、ウイルス感染や情報漏えいの危険性が低く、安全性が高いのです。
| 比較項目 | HTML形式 | テキスト形式 |
|---|---|---|
| スクリプトの実行 | 可能(危険な場合あり) | 不可(安全) |
| 画像リンク | 自動読み込みで追跡される可能性 | なし |
| ウイルス添付リスク | やや高い | 非常に低い |
メールが軽く送受信がスムーズ
装飾や画像データを含まないため、ファイルサイズが非常に小さくなります。
これにより、メール送受信が速くなり、通信環境が悪い場所でも安定して利用できます。
特に、海外とのやり取りや、低速ネットワークでの送信には効果的です。
バックアップや検索がしやすい理由
テキスト形式のメールは単純な文字データなので、ファイルとして保存しても軽量で、検索・管理がしやすいという利点があります。
また、システムによる自動仕分けやデータ抽出も容易です。
長期的なメール管理やアーカイブ運用に最も向いている形式といえるでしょう。
テキスト形式のデメリットと注意点

どんなに優れた形式にも、使い方を誤るとデメリットが生まれます。
この章では、Outlookのテキスト形式を使用する際に注意すべきポイントを解説します。
文字装飾やリンクが使えない
テキスト形式では、文字の色変更、フォントサイズの調整、太字、下線、画像挿入といった装飾機能が一切使えません。
また、リンクテキスト(例:「こちらをクリック」など)も設定できず、URLがそのまま表示されます。
例:
見た目で情報を強調したい場合には不向きといえるでしょう。
メールがそっけなく見えるリスク
テキスト形式はシンプルな分、相手によっては「事務的」「冷たい」と感じられることがあります。
そのため、言葉づかいや改行の仕方など、文章のトーンで温かみを出す工夫が大切です。
例えば、最後に「お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」のような丁寧な一文を加えると、印象が和らぎます。
相手の印象を損ねない工夫
ビジネスメールでは、内容の正確さだけでなく「感じの良さ」も大切です。
テキスト形式を使う際は、以下のような工夫を取り入れると良いでしょう。
| 課題 | 改善のポイント |
|---|---|
| 冷たい印象になる | 挨拶文や感謝の一言を添える |
| 読みにくい | 1文ごとに改行して読みやすくする |
| 要点が伝わりづらい | 箇条書きを活用して整理する |
「装飾なしでも伝わる」文章設計を意識することが、テキスト形式で好印象を与えるコツです。
Outlookでテキスト形式に変更する方法

ここでは、Outlookでメールをテキスト形式に設定・変更する具体的な手順を紹介します。
Outlookのバージョン(Microsoft 365・Outlook 2019・2021など)によって多少画面は異なりますが、基本操作は同じです。
すべてのメールを既定でテキスト形式に設定する
毎回のメールを自動的にテキスト形式で作成したい場合は、次の手順を行います。
- Outlookを起動します。
- メニューの[ファイル] → [オプション]をクリック。
- 左側のメニューから[メール]を選択。
- 「メッセージの作成」欄で[この形式でメッセージを作成する]を[テキスト形式]に変更。
- [OK]をクリックして設定を保存します。
これで、新規メール作成時は自動的にテキスト形式が適用されます。
一部のメールだけをテキスト形式にする
特定の相手に送るメールだけをテキスト形式にしたい場合は、以下のように操作します。
- メール作成画面を開きます。
- 上部メニューの[書式設定]タブをクリック。
- [書式]グループから[テキスト形式]を選択します。
この操作を行うと、そのメール1通だけがテキスト形式で送信されます。
一時的に切り替えたいときに便利な方法です。
受信メールをテキスト形式で表示する設定
HTML形式のメールを受信した場合でも、セキュリティ目的でテキスト形式で表示したいことがあります。
以下の設定で変更可能です。
- [ファイル] → [オプション] → [セキュリティセンター]を開く。
- [セキュリティセンターの設定]をクリック。
- [電子メールのセキュリティ]タブを選択。
- [すべての標準メールをテキスト形式で表示する]にチェックを入れます。
これで、HTMLメールもすべてテキスト表示に変換されます。
ただし、画像やリンクが表示されなくなるため、用途に応じて切り替えるのがおすすめです。
セキュリティを重視する場合には、この設定が非常に効果的です。
テキスト形式を使うのに向いているケース

テキスト形式は「装飾ができない」「地味」と思われがちですが、実は使い方次第で非常に有効です。
この章では、どんな場面でテキスト形式が最適かを具体的に紹介します。
社内連絡・業務報告メール
社内のメンバー間で共有するメールは、派手な装飾よりもスピードと正確さが重要です。
テキスト形式であれば、どんなデバイスや環境でも正しく表示され、社内システムとの連携にも適しています。
特に、システム通知メールや自動送信メールには最適な選択といえます。
取引先へのフォーマルな通知
契約書送付や請求書に関する案内など、形式的で正確さが求められるメールでは、テキスト形式が安心です。
HTML形式では相手の環境によって見え方が異なる可能性がありますが、テキスト形式なら常に同じ内容で届きます。
| メールの目的 | 推奨形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 契約・請求関係 | テキスト形式 | 確実に内容が届く・誤解がない |
| 挨拶・案内メール | HTML形式 | 印象を良くしたい・デザイン重視 |
「正しく伝えること」を重視するなら、テキスト形式が最も信頼できます。
軽量なメールマガジンやシステム通知
メールマガジンをHTML形式で送ると、画像が多くなり読み込みに時間がかかることがあります。
一方、テキスト形式なら軽量で、通信制限のある読者にも配慮できます。
また、システム通知メールやログ送信メールなど、内容の正確さを重視するメッセージにも適しています。
HTML形式との使い分けポイント

「見せる」メールと「伝える」メールをどう使い分けるかが、Outlookを効果的に使いこなす鍵です。
この章では、目的別にどちらを選ぶべきかを整理して紹介します。
目的別に最適な形式を選ぶコツ
以下の表を参考にすると、自分のメール目的に合った形式を簡単に選べます。
| 目的 | 推奨形式 | ポイント |
|---|---|---|
| 社内連絡・報告 | テキスト形式 | スピード重視・確実に届く |
| マーケティング・広報 | HTML形式 | デザインで印象を高める |
| 取引・契約関連 | テキスト形式 | 誤解のない正確な伝達 |
| イベント告知・販促 | HTML形式 | 視覚的に魅せる |
「誰に」「何を」伝えたいのかを基準に形式を選ぶことが、メール運用をスマートにするポイントです。
送信相手に合わせたマナーと注意点
相手によっては、HTMLメールを好まないケースもあります。
特に官公庁や一部の企業では、セキュリティ上の理由からHTMLメールをブロックする設定がされていることもあります。
そのため、初めての相手やフォーマルなやり取りでは、まずテキスト形式を選ぶのが無難です。
「読みやすさ」と「安全性」のバランスを取ることが、Outlookメールの最適運用です。
まとめ:Outlookのテキスト形式は「確実に伝える」ための選択
ここまで、Outlookのテキスト形式の特徴やメリット・デメリット、設定方法、そしてHTML形式との使い分けについて解説してきました。
最後に、この形式の本質を整理しておきましょう。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 信頼性 | どんな環境でも崩れずに読める安定した形式 |
| 安全性 | スクリプトを含まないため、セキュリティリスクが低い |
| 効率性 | 軽量で送受信が速く、管理や保存にも向く |
一方で、見た目の演出やブランドイメージを重視する場合は、HTML形式の方が適しています。
つまり、どちらが「優れている」というよりも、目的に応じて最適な形式を選ぶことが重要です。
ビジネスの現場では、次のように使い分けるのがおすすめです。
- 社内・公式通知:テキスト形式
- 広報・販促・案内:HTML形式
「見せるメール」ではなく「伝えるメール」を意識する。
それが、Outlookを使いこなす上で最も重要なポイントです。
あなたの目的と相手に合わせて、最適な形式を選択すれば、メールの印象と信頼性が大きく変わるはずです。

