2025年8月以降、「AutoCADが突然起動しなくなった」「UACが毎回表示される」といった報告が世界中で相次ぎました。
原因はWindows Updateによるセキュリティ仕様変更で、Autodesk製品を中心に多数のアプリが影響を受けました。
Microsoftは一時的に複雑な手動設定による回避策を案内していましたが、2025年11月の更新プログラムでついに問題を根本的に修正。
今ではWindows Updateを実行するだけでAutoCADが通常通り起動するようになりました。
この記事では、不具合の発生原因から最新アップデートによる解決内容、確認手順までをわかりやすく整理しています。
企業のIT管理者や設計担当者の方は、ぜひ自社環境の更新状況を確認しておきましょう。
AutoCADが起動しない不具合とは?

ここでは、AutoCADなどのAutodesk製アプリケーションで発生した「起動しない不具合」について、その概要と影響を整理します。
特に、企業や組織で複数のユーザーが利用している場合に深刻化した事例が多く、問題の全体像を把握することが重要です。
不具合の発生時期と影響範囲
この不具合は、2025年8月13日に配信されたWindows Update(セキュリティ更新プログラム)を適用した後に発生しました。
影響を受けたのはWindows 10、Windows 11、およびWindows Serverシリーズを含む、サポート中のすべてのWindows環境です。
特に、AutoCAD、Civil 3D、Inventor CAMなどのAutodesk製品のほか、初回起動時にMSI形式のインストーラを利用するアプリも対象となりました。
この更新により、アプリ起動時に「ユーザー アカウント制御(UAC)」が毎回表示され、管理者権限を要求されるようになってしまいました。
| 発生時期 | 2025年8月13日以降 |
|---|---|
| 影響OS | Windows 10 / 11 / Server |
| 対象アプリ | AutoCAD、Civil 3D、Inventor CAM など |
| 主な症状 | UACダイアログが表示され起動できない |
どのアプリが影響を受けたのか?
Autodesk製の主要アプリケーションに加え、社内開発ツールや一部のCAD連携ツールも同様の影響を受けました。
特に、管理者権限を持たない一般ユーザーが起動できなくなるケースが多発し、現場での作業がストップする事態に。
このため、製造業や建設業など、AutoCADを業務の中心に据えている企業では深刻な混乱を招きました。
エラーの具体的な症状とユーザーの困惑
問題が発生した際には、AutoCADを起動するとすぐにUACウィンドウが表示され、「このアプリをデバイスに変更を加えることを許可しますか?」というメッセージが出ます。
管理者アカウントの認証情報を入力すれば起動は可能ですが、通常ユーザーでは起動そのものがブロックされます。
この挙動はセキュリティ上の仕様変更によるもので、ユーザー側では設定で回避できず、多くのIT管理者が対応に追われる結果となりました。
| 現象 | 起動時にUACが毎回表示される |
|---|---|
| 原因 | Windows Updateによるセキュリティ仕様変更 |
| 一時的な回避方法 | 管理者権限での起動(恒久的解決ではない) |
この章では、不具合の全貌と影響を整理しました。
次の章では、この不具合の根本原因であるWindows Updateの仕様変更について詳しく見ていきましょう。
原因はWindows Updateのセキュリティ仕様変更

この章では、AutoCADなどのアプリが起動しなくなった原因について、Microsoftが行ったセキュリティ仕様の変更点をわかりやすく解説します。
単なるバグではなく、セキュリティ強化の一環として導入された変更である点が重要です。
2025年8月の更新プログラムで何が変わった?
問題の発端は、2025年8月13日に配信されたセキュリティ更新プログラムです。
このアップデートでは、MSI形式のインストーラを利用するアプリの権限管理に関する内部仕様が変更されました。
その結果、アプリが内部的にMSI修復動作(自己更新や再構成)を行うと、Windowsがこれを「管理者操作」とみなし、ユーザー アカウント制御(UAC)を強制的に表示するようになりました。
| 更新日 | 2025年8月13日 |
|---|---|
| 変更内容 | MSIインストーラの権限検証方式を強化 |
| 影響アプリ | AutoCAD / Civil 3D / Inventor など |
| 副作用 | 通常ユーザーで起動できなくなる |
UAC(ユーザー アカウント制御)の新仕様の仕組み
UAC(User Account Control)とは、アプリがシステム設定やファイル構成を変更しようとしたときに、ユーザーに確認を求めるセキュリティ機能です。
2025年8月の更新後は、従来「サイレント実行」できた内部処理までもがUACの対象に含まれるようになりました。
つまり、正規のアプリであっても再構成時には管理者承認が必須となったのです。
| 従来仕様 | 2025年8月以降 |
|---|---|
| MSI修復操作は自動で実行可能 | MSI修復操作にUACが必ず表示される |
| 内部動作は非表示で安全に処理 | ユーザー承認なしでは動作不可 |
なぜ管理者権限が必要になったのか?
Microsoftは、この変更を「セキュリティリスクの最小化」として説明しています。
つまり、マルウェアがMSI修復機能を悪用してシステムを改変するリスクを防ぐ目的です。
しかし、結果としてAutoCADのような大規模アプリが正常に起動できなくなり、現場ではセキュリティ強化が“副作用”として現れた形となりました。
この仕様変更は設計上の意図に沿ったものであるため、ユーザー側で簡単にオフにすることはできませんでした。
| Microsoftの意図 | 不正なMSI操作の防止 |
|---|---|
| 副作用 | 一般ユーザーでAutoCADが起動しなくなる |
| ユーザー側対応 | なし(根本対策は後述の更新で実装) |
ここまでで、問題の根本原因が「Windows Updateによるセキュリティ仕様変更」であることが明らかになりました。
次の章では、Microsoftが当初提示した面倒な暫定対処法について見ていきましょう。
Microsoftの最初の対処法とその問題点

この章では、不具合が発生した直後にMicrosoftが提示した「暫定的な解決策」と、その手間や現場での混乱について詳しく解説します。
結論から言うと、この方法は理論上の解決にはなるものの、実際には現場の負担が大きすぎるものでした。
設定が面倒だった旧方式の概要
Microsoftは、2025年9月10日に配信したセキュリティ更新プログラムで、特定のアプリに対してUACを表示させない設定を行える新機能を導入しました。
しかし、この機能は一般ユーザー向けではなく、IT管理者がレジストリやグループポリシーを手動で編集して設定する必要がありました。
つまり、「セキュリティポリシーをカスタマイズして例外を作る」という、慎重かつ複雑な操作が求められたのです。
| 導入時期 | 2025年9月10日 |
|---|---|
| 設定方法 | グループポリシー / レジストリ編集 |
| 対象者 | システム管理者のみ |
| 目的 | 特定アプリでのUAC非表示化 |
企業ユーザーが直面した運用上の課題
この旧方式は、企業環境では非常に導入しづらいものでした。
理由は、環境ごとにレジストリ設定を変更する必要があり、PCごとに手作業で対応しなければならなかったためです。
また、ポリシーを間違えて設定すると、他のアプリの挙動に影響を及ぼすリスクもありました。
結果として、多くの企業が「リスクを取るよりはUAC入力を続ける」選択を余儀なくされました。
| 問題点 | 内容 |
|---|---|
| 設定作業の煩雑さ | 数十〜数百台の端末で手動作業が必要 |
| 誤設定リスク | システム全体のセキュリティに影響 |
| 運用コスト | 時間と人件費の負担が大きい |
実際に行うとどれほど手間がかかるのか?
Microsoftのサポート文書に記載された手順を簡単にまとめると、以下のようになります。
- 特定アプリのパスをレジストリに手動で追加
- UAC例外のポリシーを有効化
- 各端末を再起動して設定を反映
このプロセスをすべてのユーザー環境で繰り返す必要がありました。
特に、大規模ネットワーク環境では、自動配布の仕組みを構築しなければ運用が回らないレベルです。
結果として、「現実的ではない暫定対応」として、多くの現場で実施が見送られたのです。
| 設定ステップ数 | 5〜10段階 |
|---|---|
| 再起動の必要性 | あり |
| 運用負荷 | 非常に高い |
Microsoftの意図としてはセキュリティを損なわずに柔軟性を確保するものでしたが、現場ではむしろ混乱が増えた結果となりました。
次の章では、ついに登場した真の解決策、つまり最新のWindows Updateによる完全修正について解説します。
新しいWindows Updateで完全解決!

この章では、Microsoftが2025年11月に発表した最新の解決策について解説します。
面倒な設定を行わなくても、自動的に問題が解消されるという朗報です。
2025年10月以降の更新プログラムでの改善点
Microsoftは2025年11月24日(米国時間)に、AutoCADなどで発生していたUAC問題が最新のWindows Update適用により完全修正されたと発表しました。
対象となるのは2025年10月29日以降にリリースされた更新プログラムで、これを適用することで、自動的に問題が解消されます。
特にWindows 11の「25H2」および「24H2」向けプレビューリリース(例:KB5067036)以降が該当します。
| 修正版リリース日 | 2025年10月29日以降 |
|---|---|
| 正式発表日 | 2025年11月24日(米国時間) |
| 対象バージョン | Windows 10 / 11 / Server 全エディション |
| 影響範囲 | UACが不要になり、AutoCAD等が通常起動可能に |
KB5067036以降で何が修正されたのか
Microsoftは、MSI修復操作時に発生するUACダイアログのトリガー条件を再定義しました。
これにより、アプリが自己修復動作を行う場合でも、信頼された署名(例:Autodesk社のデジタル署名)を持つアプリについてはUACの表示をスキップできるようになりました。
簡単に言えば、正当なアプリが「悪意ある挙動」と誤認されなくなったということです。
| 修正内容 | 効果 |
|---|---|
| MSI権限検証の例外追加 | 署名付きアプリはUAC対象外に |
| 内部修復動作の分類見直し | 通常起動時のUAC不要 |
| グループポリシー設定の簡略化 | 手動設定不要に |
UACが表示されなくなった仕組みの詳細
この修正では、アプリが信頼された発行元のものであるかどうかをWindowsが自動的に判別します。
信頼済みアプリであれば、MSI修復操作も「安全な操作」として扱われ、ユーザー承認が不要になります。
つまり、AutoCADのようにシステムレベルで多くのファイルを操作するアプリでも、従来どおりのスムーズな起動が可能になったのです。
| 従来仕様 | 修正後仕様 |
|---|---|
| 信頼されたアプリでもUACを要求 | 信頼署名があればUACスキップ |
| グループポリシー設定が必須 | 自動判定により設定不要 |
| ユーザー操作が煩雑 | Windows Updateのみで完結 |
このように、今回の修正でIT管理者は個別設定を行う必要がなくなり、Windows Updateを実行するだけで問題が解消されます。
次の章では、実際に最新の更新が適用されているかどうかを確認する手順を紹介します。
修正後に行うべき確認手順

この章では、最新のWindows Updateを適用したあとに、AutoCADなどのアプリが正しく起動できるかを確認するための具体的な手順を解説します。
アップデートを当てただけで終わりにせず、しっかりと動作確認を行うことが重要です。
最新の更新プログラムが適用されているか確認する方法
まずは、該当の修正を含む更新プログラムがインストールされているかを確認しましょう。
以下の手順でチェックできます。
- 設定 > Windows Update > 更新の履歴を開く。
- 「品質更新プログラム」欄でKB5067036またはそれ以降の番号があるかを確認。
- 該当更新が表示されていない場合は、「更新プログラムのチェック」を実行。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 設定画面 | Windows Update > 更新履歴 |
| 対象KB | KB5067036 以降 |
| インストール状態 | 「正常に完了」と表示されていること |
なお、企業環境ではWSUS(Windows Server Update Services)を利用している場合もあるため、管理者コンソールから更新の適用状況を確認してください。
AutoCADの正常起動をチェックする手順
更新が適用されたら、次は実際にAutoCADが問題なく起動するか確認します。
以下の流れでテストを行いましょう。
- 通常ユーザー権限のアカウントでWindowsにサインイン。
- AutoCADをダブルクリックで起動。
- UACダイアログが表示されないことを確認。
- 起動後、ライセンス認証やプロジェクトの読み込みが問題ないかもチェック。
| 確認ポイント | 正常な状態 |
|---|---|
| UACの表示 | 表示されない |
| アプリ起動速度 | 通常通り(遅延なし) |
| 設定・保存操作 | 制限なく実行可能 |
もしUACが引き続き表示される場合は、更新が正しく反映されていない可能性があります。
その場合は、一度再起動を行った上で「Windows Updateの再確認」を実施してください。
問題が残る場合の追加対策
まれに、最新の更新が適用されていても、環境要因で問題が残るケースがあります。
その場合、以下の対処を試してください。
- レジストリキャッシュの再構築:コマンドプロンプトを管理者で開き、
sfc /scannowを実行。 - グループポリシーのリセット:「gpupdate /force」で設定を再適用。
- Autodesk製品の修復インストール:インストーラーから「修復」を選択。
| 追加対策 | 目的 |
|---|---|
| sfc /scannow | 破損したシステムファイルの修復 |
| gpupdate /force | グループポリシーの再適用 |
| Autodesk修復機能 | アプリ側キャッシュの修正 |
上記を実施しても改善が見られない場合は、MicrosoftサポートまたはAutodeskサポートに問い合わせるのが確実です。
次の章では、この不具合から得られる教訓と、今後のアップデート対応のポイントをまとめます。
まとめ|IT管理者が今すぐ取るべき行動
ここまで解説してきたように、AutoCADなどの起動不具合は最新のWindows Updateによって完全に修正されました。
この章では、今回の事例から学ぶべきポイントと、今後のアップデート運用で注意すべき点をまとめます。
今回の不具合から学べるポイント
今回のケースで最も重要なのは、「セキュリティ強化による副作用は誰にでも起こりうる」という点です。
Microsoftが意図したのは安全性の向上でしたが、実際には多くの企業で業務停止を引き起こしました。
つまり、アップデート=安心とは限らないという教訓です。
今後も類似の仕様変更が発生する可能性があるため、更新内容を把握した上で計画的に展開することが求められます。
| 教訓 | 具体例 |
|---|---|
| アップデートには副作用がある | セキュリティ仕様変更でアプリが動かなくなる |
| 仕様理解が重要 | 更新内容のドキュメントを事前確認 |
| 事前テストの重要性 | 検証用PCでの動作確認を徹底 |
今後のWindows Update対応の心得
IT管理者は、今後もWindows Updateを避けるのではなく、安全に活用する体制を整えることが大切です。
具体的には、更新プログラムを段階的に配信し、問題発生時にすぐロールバックできる仕組みを作ることがポイントです。
また、MicrosoftやAutodeskの公式チャネルを定期的にチェックし、既知の不具合情報を早期に把握することも欠かせません。
- 更新プログラムは「全社即時適用」ではなく段階展開を行う。
- 変更内容をITチーム全体で共有する。
- 不具合発生時に備えてバックアップを定期取得する。
| 対応項目 | 推奨アクション |
|---|---|
| 更新の適用方法 | 段階配信+検証環境でのテスト |
| 情報収集 | Microsoft・Autodesk公式ブログの監視 |
| バックアップ運用 | システムイメージを定期保存 |
自動更新設定の見直しと管理のコツ
最後に、自動更新設定を見直して、リスクを最小限に抑えるための管理方法を紹介します。
特に企業環境では、個々のPC任せではなく、集中管理を行うことが推奨されます。
WSUSやIntuneを使えば、特定の更新だけを遅延配信したり、検証後に一括適用する運用が可能です。
また、アップデート前のバックアップと更新履歴の管理は、トラブル時の復旧を圧倒的に早めます。
| 管理方法 | 効果 |
|---|---|
| WSUSによる配信制御 | 安全な更新展開が可能 |
| Intuneでのポリシー統一 | 端末ごとの差異を防止 |
| バックアップ+履歴管理 | 復旧作業を効率化 |
この不具合は最終的にMicrosoftの修正で解決しましたが、IT管理者としては「更新をどう扱うか」が今後の安定運用の鍵となります。
最新情報を追い続け、検証と共有を習慣化することが最強の防御策と言えるでしょう。

