Azure Virtual Desktop(AVD)環境でRemoteAppが起動しない、接続できない――そんな声が2025年12月以降に急増しています。
原因はWindows 11 24H2 / 25H2およびWindows Server 2025向けに配信された更新プログラムKB5072033とKB5070311に含まれる不具合です。
本記事では、Microsoftが公式に認めた不具合の概要から、企業環境での影響範囲、そして安全に回避するための最新の対処法(KIR・レジストリ設定)までを整理しました。
2026年以降の修正版アップデート予定もあわせて紹介するので、AVD運用担当者の方はぜひ参考にしてください。
RemoteApp接続障害の最新概要

ここでは、現在発生しているRemoteAppの接続障害について、原因となっている更新プログラムや影響を受ける環境を整理して解説します。
Microsoftが発表した情報をもとに、2025年12月時点での最新状況を詳しく見ていきましょう。
どのWindows更新で発生しているか(KB5070311 / KB5072033)
この不具合は、2025年12月10日配信のセキュリティ更新プログラムKB5072033および、2025年12月2日公開のプレビュー更新KB5070311を適用した環境で発生しています。
該当するのは、Windows 11 24H2 / 25H2、そしてWindows Server 2025のAzure Virtual Desktop (AVD)環境です。
この更新を適用した後、RemoteAppを起動してもセッションが開始されず、接続が失敗するケースが確認されています。
特に影響を受けるのは、フルデスクトップではなくRemoteApp(アプリケーション単位でのリモート配信)を利用している環境です。
| 影響を受けるOS | 該当更新プログラム | 公開日 |
|---|---|---|
| Windows 11 25H2 / 24H2 | KB5072033、KB5070311 | 2025年12月 |
| Windows Server 2025 | KB5072033 | 2025年12月 |
発生環境と影響範囲(AVD・Home/Pro・企業システム)
この不具合は主に企業や組織のAVD環境に影響を与えます。
個人ユーザー向けのWindows 11 HomeやProエディションでは、RemoteApp機能自体を利用するケースが少ないため、影響はほとんどありません。
Microsoftも公式に「一般的な個人ユーザーが影響を受ける可能性は極めて低い」と明言しています。
つまり、主に企業のVDI / AVD運用環境で注意が必要な障害ということになります。
| ユーザー種別 | 影響の可能性 | 備考 |
|---|---|---|
| 企業・法人(AVD環境) | 高い | RemoteApp接続が失敗する場合あり |
| 一般ユーザー(個人PC) | 低い | AVD未使用なら影響なし |
なお、MicrosoftはすでにKnown Issue Rollback(KIR)による自動修正を配信しており、多くの環境では24時間以内に緩和が進んでいます。
ただし、管理下の企業PCでは手動対応が必要となる場合もあるため、次章で具体的な対処方法を解説します。
次の章では、実際の回避策とその適用方法を詳しく見ていきます。
不具合の発生メカニズムと報告状況

ここでは、RemoteApp接続障害がなぜ発生しているのか、その内部的な原因やユーザーから寄せられている実際の報告内容を見ていきます。
Microsoft公式情報と実際のITコミュニティの声を組み合わせて、現時点の理解を整理します。
Microsoft公式で認められた症状と現状
Microsoftは、KB5072033およびKB5070311の適用後、RemoteAppセッションが開始できなくなる不具合を正式に認めています。
この不具合は、Azure Virtual Desktop(AVD)でリモートアプリを起動する際に、セッションの初期化プロセスが正常に完了しないことが原因です。
つまり、アプリを起動しても一瞬で閉じる、または「接続できません」というエラーメッセージが表示される形で発生します。
なお、Remote Desktop(フルセッション)ではこの問題は報告されていません。
| 発生対象 | 影響内容 | 補足 |
|---|---|---|
| RemoteApp(AVD) | セッションが開始できない・接続エラー | メイン影響範囲 |
| フルデスクトップ(AVD) | 影響なし | 通常通り利用可能 |
Microsoftは、内部的な原因としてRdpShell.exeのRailRPC初期化フラグが無効化されている点を特定しています。
この設定が正しく起動されないため、RemoteAppのセッションハンドリングが途中で止まるという仕組みです。
原因は更新プログラム内のレジストリ制御に関する不具合であり、KIRによる緩和が有効と公式に案内されています。
ユーザー側の報告例(実際の接続失敗例)
海外のITフォーラムやRedditでは、2025年12月上旬以降、AVD環境でRemoteAppが起動しないという報告が相次ぎました。
多くの報告では、KB5072033をアンインストールすることで一時的に解決したという声もありますが、これは恒久的な対応ではありません。
一部のユーザーは、Microsoftが提示したレジストリ変更を適用することで接続が回復したと報告しています。
| 報告時期 | 発生内容 | 対応結果 |
|---|---|---|
| 2025年12月2日~10日 | RemoteAppが開かない/接続が切断される | KIR適用またはレジストリ修正で改善 |
| 2025年12月中旬 | AVDポータルからの起動も失敗 | 再起動または修正ポリシー適用で回避 |
特に、「ShouldStartRailRPC」キーを追加すると改善したという報告が多数見られます。
この設定を手動で追加する方法については、次章で詳しく解説します。
次の章では、Microsoftが推奨する2つの具体的な回避策をわかりやすく紹介します。
RemoteApp接続不具合の回避策と対処方法

この章では、Microsoftが案内しているRemoteApp接続障害への具体的な回避策を解説します。
今回の不具合には、主に2つの方法で対応が可能です。
それぞれの手順と注意点を整理して紹介します。
対処方法A:レジストリ設定による回避
Microsoftは一時的な回避策として、レジストリキーを追加する方法を案内しています。
これは、RemoteAppのセッション起動処理で使われる「RailRPC(リモートアプリ制御プロセス)」を手動で有効化する手順です。
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| ① | 「コマンドプロンプト」を管理者として実行します。 |
| ② | 次のコマンドを入力してEnterキーを押します。 |
reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\WinLogon\ShellPrograms\RdpShell.exe" /v "ShouldStartRailRPC" /t REG_DWORD /d 1 /f
コマンド実行後は、PCを再起動してください。
注意: Microsoftはこの変更を元に戻す手順を正式には案内していません。
そのため、企業環境ではグループポリシーなどを通じて事前にレジストリのバックアップを取得してから実行することを推奨します。
一時的な措置としては有効ですが、恒久対策ではない点に注意が必要です。
対処方法B:Known Issue Rollback(KIR)による修正
より安全で推奨される回避策が、Known Issue Rollback(KIR)の適用です。
KIRとは、Windowsの更新プログラムをアンインストールしなくても、問題部分だけを自動でロールバック(巻き戻し)する仕組みのことです。
一般ユーザーや企業管理外のPCでは、Windows Update経由で自動的にKIRが配信されます。
通常は24時間以内に自動で修正が反映され、再起動すると早まる場合もあります。
| 環境 | 適用方法 |
|---|---|
| 一般PC / 管理外デバイス | 自動でKIRが反映(再起動で早まる) |
| 企業・法人環境 | グループポリシーを展開してKIRを適用 |
組織でPCを集中管理している場合は、Microsoftが公開しているグループポリシーテンプレートを利用することで、KIRを手動展開できます。
以下が該当ポリシーです。
Windows 11 24H2 / 25H2 / Windows Server 2025 用
KB5072033 25121301401 Known Issue Rollback
詳細な展開手順は、Microsoftのサポート記事「How to use Group Policy to deploy a Known Issue Rollback」を参照してください。
どちらの方法を選ぶべきか?
安全性と再現性を重視するなら、KIRの適用が最も推奨される方法です。
レジストリ修正は即効性があるものの、将来的な更新で設定が上書きされる可能性があります。
特に組織運用のAVD環境では、IT部門を通じてKIRを適用するのが理想的です。
| 方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| レジストリ修正 | 即効性が高い | 恒久的ではない、リスクあり |
| KIR適用 | 安全で自動反映される | 反映まで最大24時間かかる |
現時点で接続に支障が出ていない場合は、特別な対応を行わずとも、KIRが自動で適用されるのを待つのが最もリスクの低い対応です。
次の章では、Microsoftの今後の対応と修正版アップデートの予定を紹介します。
Microsoftの今後の対応とアップデート予定

ここでは、RemoteApp接続障害に対してMicrosoftが今後どのような対応を予定しているのかを整理します。
既に一時的な回避策(KIRやレジストリ設定)は提供されていますが、最終的な修正版アップデートの配信が待たれています。
修正版アップデートの現状
Microsoftは、KB5072033およびKB5070311によって発生したRemoteApp接続不具合を正式に認識しています。
現在、Windows 11 24H2・25H2・Windows Server 2025向けに修正版アップデートを準備中で、2026年初頭(1月〜2月頃)に提供開始予定とされています。
この修正版をインストールすることで、KIRやレジストリ変更による暫定的な対応を解除できるようになる見込みです。
| 対象OS | 修正版アップデート予定 | 備考 |
|---|---|---|
| Windows 11 24H2 / 25H2 | 2026年1〜2月リリース見込み | Windows Update経由で提供予定 |
| Windows Server 2025 | 同時期に提供予定 | AVD環境でも検証中 |
Microsoftは公式サポートページ上で「今後の更新で修正を含める予定」と明言しており、プレビューリリース(Cリリース)に先行して修正版が反映される可能性もあります。
そのため、今後のWindows Updateには注視しておくことが重要です。
KIR適用後の注意点と環境管理
KIR(Known Issue Rollback)は非常に便利な緩和機能ですが、あくまで「問題部分だけを元に戻す」一時的な措置です。
今後の更新プログラムによって、再度KIRが上書きされる場合もあるため、企業やIT管理者は対象端末の状態を継続的にモニタリングすることが推奨されます。
また、グループポリシーでKIRを適用している場合は、修正版アップデートの配信後に手動で設定を解除する必要があります。
| 項目 | 対応内容 |
|---|---|
| 自動KIR環境 | 修正版適用後は自動的に無効化される |
| 手動KIR環境(グループポリシー) | 管理者が手動でロールバック設定を解除する必要あり |
さらに、レジストリで手動修正を行った端末では、修正版インストール後に不要な設定が残る可能性もあるため、IT部門で統一した方針を立てることが重要です。
恒久的な修正版が配信された際は、手動回避策を解除して環境を標準状態に戻すのがベストです。
次の章では、この記事全体の内容を振り返り、AVD環境でRemoteAppの接続問題が発生した際に取るべき行動をまとめます。
まとめ:AVD環境でRemoteApp不具合が出たときのポイント整理
ここまで、RemoteAppの接続不具合に関する最新情報と対処法を見てきました。
最後に、トラブル対応時に確認すべきポイントを整理しておきましょう。
発生原因と影響範囲の再確認
今回の不具合は、2025年12月に配信されたKB5072033およびKB5070311に含まれるコード変更が原因です。
RemoteAppセッションの初期化時にRailRPC設定が正しく処理されず、接続が失敗する仕組みとなっています。
影響を受けるのは主にAVD環境を利用する企業・組織の端末であり、個人PCへの影響はほぼありません。
| 対象 | 影響度 | 備考 |
|---|---|---|
| 企業・法人(AVD環境) | 高い | RemoteApp接続不可の事例あり |
| 個人ユーザー(Home/Pro) | 低い | 通常は影響なし |
取るべき対処の優先順位
RemoteAppが接続できない場合、まずはMicrosoftが提供しているKIRの適用を待つのが安全です。
時間をかけず即時に回復させたい場合のみ、レジストリ修正を検討します。
企業管理環境では、IT部門を通じてグループポリシーを使ったKIR展開を実施するのが理想です。
| 優先順位 | 対応内容 |
|---|---|
| ① | KIR(Known Issue Rollback)の自動または手動適用 |
| ② | レジストリ修正(即時回避用) |
| ③ | 恒久修正版アップデートが公開されたら手動回避策を解除 |
今後の運用で気をつけるポイント
今回の不具合は、企業環境での更新管理やテスト体制の重要性を改めて示す事例となりました。
特に、更新プログラムの事前検証や、KIRなどのロールバック仕組みを理解しておくことが、システムトラブルを最小限に抑える鍵となります。
「更新を止める」よりも「更新の影響をコントロールする」ことが、今後のWindows運用では最も重要です。
また、Microsoftの公式サポートサイトやAVDコミュニティを定期的に確認し、最新の既知の問題(Known Issues)を把握しておくことをおすすめします。
最後に、RemoteApp接続不具合が起きたときに確認すべきチェックリストをまとめておきます。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 1 | KB5072033 / KB5070311 がインストールされていないか確認 |
| 2 | KIR(Known Issue Rollback)の適用状況を確認 |
| 3 | 必要に応じてレジストリ修正を実行 |
| 4 | 修正版アップデート公開後に手動回避策を解除 |
この一連の流れを押さえておくことで、同様のトラブルが発生した際も落ち着いて対応できるようになります。
AVD環境の安定稼働を維持するために、定期的な更新管理と情報チェックを忘れずに行いましょう。
